
ふと空を見上げたとき、そこに鮮やかな虹のアーチがかかっていたら、なんだか一日が良い日になりそうな気がしませんか? 雨上がりの空からの特別なプレゼントのような虹。先日、まさにそんな心ときめく光景に出会いました。しかも、よく見ると虹が二重にかかっている「ダブルレインボー」です。
この美しい光景を見ていると、どうして虹はできるんだろう?二重の虹には何か意味があるのかな?と、次々に疑問が浮かんできます。
そこで今回は、この美しい写真とともに、虹にまつわる科学と、知っているとちょっと嬉しくなる雑学をご紹介します。
虹はどうしてできるの?空に架かる七色の橋の正体
虹は、太陽の光と空気中の水滴が織りなす光の芸術です。雨が降った後や、霧雨が降っているときなど、空気中にたくさんの小さな水滴が浮かんでいる状態で、太陽の光が差し込むと現れます。
その仕組みは、まるで小さなプリズムのようです。
- 屈折:太陽の光が水滴に入るときに、少し折れ曲がります(屈折)。
- 反射:水滴の中に入った光は、内側で一度反射します。
- 分散:そして、水滴から出るときに再び屈折します。
このとき、太陽の光(白色光)は、実は様々な色の光が混ざり合ってできています。水滴を通る際に、光は色によって屈折する角度がわずかに違うため、色が分かれて見えるのです。これを「光の分散」と呼びます。赤色が最も大きく曲がり、紫が最も小さく曲がるため、私たちが見るときには外側が赤、内側が紫の色の帯として見えるのです。
見つけたらラッキー!「ダブルレインボー」の秘密
写真に写っているような二重の虹は「ダブルレインボー」と呼ばれ、はっきりと見える主虹(しゅにじ)の外側に、うっすらと見える副虹(ふくこう)が特徴です。
この副虹は、水滴の中で光が2回反射することで生まれます。1回多く反射するため、光が弱くなり、主虹よりも淡い色に見えるのが一般的です。
そして、面白いことに、副虹は色の並び順が主虹と逆になります。つまり、外側が紫で、内側が赤になるのです。次にダブルレインボーを見つけたら、ぜひ色の順番にも注目してみてください。
古くから、この珍しいダブルレインボーは「幸運のサイン」と言い伝えられています。「願いが叶う」「祝福の前触れ」など、世界中で縁起の良いものとされているんですよ。この写真を見てくださった皆さんにも、幸運が訪れますように!
虹の雑学コーナー「へぇ!」
虹の魅力は、その美しさだけではありません。知れば知るほど奥深い、虹にまつわる雑学をいくつかご紹介します。
雑学①:虹は本当に7色?
日本では「虹は7色」というのが常識ですが、実は虹の色の数は世界共通ではありません。 - アメリカやイギリス:6色(藍色を含めない)
- ドイツやフランス:5色
- 沖縄の古い言い伝え:2色(赤と黒など)
など、国や文化によって虹の色の捉え方は様々です。
そもそも、虹の色はくっきりと分かれているわけではなく、連続的なグラデーションになっています。私たちが「7色」と認識しているのは、万有引力の発見で知られる科学者アイザック・ニュートンが、音楽の音階(ドレミファソラシ)が7音であることになぞらえて、スペクトルを7色に分類したのが始まりだと言われています。
雑学②:虹の本当の形は「円」
私たちは虹を半円のアーチとして見ていますが、実は虹の本当の形は円形です。
虹が見える角度は、太陽と観測者と水滴の位置関係によって決まっています。その角度(約42度)で見える点をすべて結ぶと、きれいな円になるのです。
普段、私たちの足元には地面があるため円の下半分が見えませんが、飛行機の中からや山の頂上など、条件が揃えば真ん丸い虹「フルサークルレインボー」を見ることができるかもしれません。
おわりに
何気なく見ている虹も、その仕組みや歴史を知ると、次に出会うときにはもっと特別なものに見えてくるかもしれません。
雨上がりの空は、美しい虹のサプライズが隠されているチャンスです。少しだけ空を見上げる時間を作って、自然が作り出す光のショーを探してみてはいかがでしょうか。もしかしたら、幸運のダブルレインボーに出会えるかもしれませんよ。