「ブラックバスは、釣りの人気ターゲット。でも、外来種として駆除対象になっているのはなぜ?」
釣りが好きな人なら、一度は耳にしたことがある外来種問題。しかし、その背景や、釣り人がどのような役割を果たすべきか、深く考えたことはないかもしれません。この記事では、外来種問題の核心に迫り、釣り人ができる具体的な行動を解説します。
なぜ外来種は「悪者」とされるのか?
そもそも、外来種とは、元々その地域にいなかったのに、人間活動によって持ち込まれた生物のことです。そのすべてが問題になるわけではありませんが、一部の生物は、日本の生態系に深刻なダメージを与えています。

• 捕食者としての脅威
ブラックバスやブルーギルは、日本の在来種であるフナやメダカ、エビなどを大量に捕食します。本来の生態系に存在しない強力な捕食者が増えることで、在来種の数が激減したり、絶滅の危機に瀕したりすることがあります。
• 生態系のバランス破壊
在来種が減ると、それをエサにしていた他の生物も影響を受けます。たとえば、メダカが減れば、メダカをエサにしていた鳥や昆虫も減少し、連鎖的に生態系のバランスが崩れてしまうのです。
この問題は、魚類だけでなく、アメリカザリガニやアライグマなど、陸上にも広がっています。
釣りが、外来種を広める?意外な「原因」と「責任」
残念ながら、一部の釣り人が無意識に、外来種問題の原因になってしまうことがあります。
• リリースによる拡散
釣ったブラックバスやブルーギルを、元の場所とは違う池や川に放す行為は、最も深刻な問題です。これにより、外来種の生息域が拡大し、被害が広がるリスクが高まります。
• 「逃がした」「捨てた」生物
観賞魚として飼っていた生物を、野外に放流することも問題です。たとえば、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)やコイの仲間などが、野外で繁殖し、在来種の脅威となるケースが多発しています。
釣り人は、自然と深く関わる存在だからこそ、この問題に正面から向き合う責任があります。
私たちにできること:釣りをしながら、環境を守る具体的な行動
では、私たちは具体的に何をすればいいのでしょうか?実は、釣りを楽しみながら、外来種問題の解決に貢献できることはたくさんあります。
• 「キャッチ&イート」の実践
ブラックバスやブルーギルは、きちんと下処理をすれば美味しく食べられます。釣った魚を美味しくいただくことは、外来種の個体数増加を抑制する最も効果的で、サステナブルな方法の一つです。
• ルールを遵守する
釣り場によっては、「外来種のリリース禁止」といったルールが設けられています。このようなルールは、生態系を守るために非常に重要です。たとえルールがなくても、安易なリリースの危険性を理解し、責任ある行動を心がけましょう。
• ゴミを拾う
外来種問題とは直接関係がないように思えますが、釣り場の環境をきれいに保つことは、釣り人のイメージ向上につながります。環境保全に取り組む姿勢は、釣り場を守るだけでなく、地域社会との信頼関係を築く上でも不可欠です。
釣りの技術を磨くことはもちろん、このような知識と責任を持つことが、これからのアングラーには求められます。私たちの手で、未来の釣り場を守っていきましょう。


