「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、彼岸は季節の変わり目。毎年春と秋にやってくるお彼岸ですが、お墓参りやおはぎを食べる習慣は知っていても、「なぜこの時期なの？」「どんな意味があるの？」と疑問に思ったことはありませんか？
今回は、お彼岸の由来や過ごし方、そして意外と知らない豆知識についてご紹介します。お彼岸をより深く理解し、大切な人を想う温かい時間を過ごしましょう。
そもそも「彼岸」って何？仏教に由来する特別な期間
お彼岸は、元々は仏教の考え方に基づいています。仏教では、私たちが生きるこの世を「此岸（しがん）」、悟りを開いた仏様がいる世界を「彼岸（ひがん）」と呼びます。
私たちが煩悩に満ちた此岸から、悟りの境地である彼岸にたどり着くために、仏道修行を行う期間として、お彼岸の習慣が根付いたのです。
この彼岸の期間は、春分の日と秋分の日を「中日」とし、その前後3日間を含めた合計7日間とされています。この7日間で、悟りを開くための6つの修行「六波羅蜜（ろくはらみつ）」を一つずつ実践していく、という意味が込められています。
太陽と結びつく、お彼岸の特別な意味
なぜお彼岸が春分と秋分の時期なのでしょうか。これには、日本古来の考え方と仏教の教えが融合した、興味深い理由があります。
春分と秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈む特別な日です。仏教では、悟りの世界である極楽浄土は西方にあるとされています。このため、真西に沈む太陽は、故人の魂が極楽浄土へ向かう道筋を示すと考えられたのです。
この特別な日にご先祖様を供養することで、故人が迷うことなく浄土へ行けるように、また、私たち自身も悟りの境地に近づけるように、と願う意味合いが込められています。太陽の動きが、故人や私たち自身と深く結びついていると思うと、お墓参りの意味がより深く感じられますね。
知ってる？お彼岸の過ごし方とお墓参りのマナー
お彼岸の過ごし方として最も一般的なのが、お墓参りです。ただ訪れるだけでなく、心を込めてご先祖様を供養するために、いくつかのマナーを知っておきましょう。
1. お墓の掃除
まずは、お墓をきれいに掃除します。墓石を磨き、雑草を抜き、ご先祖様が気持ちよく過ごせるように整えましょう。
2. お供え物
故人が好きだったお菓子や飲み物、そしてお花をお供えします。ただし、動物性食品など腐りやすいものは避け、お参りが終わったら持ち帰るのがマナーです。花はトゲのあるものや香りの強いものは避け、故人が安らかに眠れるような落ち着いた色合いのものが好まれます。
3. 線香をあげる
線香に火をつけ、静かに手を合わせます。宗派によって作法が異なりますが、束のまま火をつけ、香炉に立てるのが一般的です。
お墓参りの際には、ご先祖様への感謝の気持ちを静かに伝え、日々の暮らしの報告をすると良いでしょう。
豆知識：おはぎとぼた餅、その違いは？
お彼岸の代名詞ともいえるのが、「おはぎ」と「ぼた餅」です。実は、これらには明確な違いがあります。
春の彼岸には「ぼた餅」、秋の彼岸には「おはぎ」と呼びます。
なぜ呼び名が違うのかというと、それぞれの季節を代表する花に由来しているからです。
• ぼた餅: 春に咲く牡丹（ぼたん）の花にちなんで、大きめで丸い形に作られます。
• おはぎ: 秋に咲く萩（はぎ）の花にちなんで、小ぶりで俵型に作られることが多いです。
また、春は収穫した小豆がまだ硬いため、皮を取り除いた「こしあん」を使うことが多い一方、秋は収穫したばかりで皮が柔らかいため、「粒あん」を使うのが一般的です。
お彼岸に食べるおはぎやぼた餅は、邪気を払う力があるとされる小豆を使った縁起の良い食べ物として、故人への供養とともに、私たち自身の無病息災を願う意味合いも込められています。
まとめ
お彼岸は、ご先祖様や故人を偲ぶ大切な期間であると同時に、私たち自身が日々の暮らしを見つめ直し、心を清める良い機会でもあります。
おはぎやぼた餅を食べながら、ご家族と故人の思い出話に花を咲かせたり、太陽の光に感謝したりするのも良いですね。このお彼岸が、あなたにとって、大切な人との繋がりを再確認できる温かい時間になることを願っています。
